スーダンの特別支援学校教員の2年間の苦闘

青年海外協力隊として、スーダンの支援学校で活動しています。定期的に、スーダンの支援学校の様子をお伝えしたいと思います。経験が浅いので色々突っ込みどころ満載な記事になりますが、その際はご指摘ください。

スーダンにおける大人な事情

前のページでは、今スーダンで起こっていることを書きました。このページでは、なぜこんなことが起こるのか、引いては、なぜスムーズに軍政から民政にならないのか自分なりに考えたことをここに書きたいと思います。

 

はじめに述べておきます。なかなか、スムーズに民政に移管できない理由は、「ロシアと中国の思惑」も見え隠れしているのではないかなと思います。

 

もともとスーダンはアフリカ北東部で紅海に面しています。武装組織などの影響で内政状態が不安定なチャド、リビア南スーダンに国境を面する、高い緊張状態に晒されているところにあります。そういったこともあり、武装組織を国内に流入させないためにも、多くの兵器や兵士が必要になります。そこで、現在ロシアが数多くの兵器や戦闘機をスーダンに輸出しています。また、2011年に南スーダンが独立したことで、油田のある地域のほとんどが南スーダンに持って行かれ、経済も落ち込みました。そこで、中国がスーダンに入り込み、インフラ整備の支援や石油開発を行うことになりました。また、スーダンの輸出先の大口が中国でもあります。

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「なぜ、遠く離れたロシアと中国なのか」と思うかもしれませんが、「ロシア」については、国際的に見て、経済や軍事的に重要なチョークポイントである紅海に面するスーダンにロシア軍基地を置き、アメリカ軍基地があるジブチに対抗するねらいもあるのかなと思います。現に、スーダンの旧政権側とプーチン政権との間で基地設置についての話し合いもあったようです。

「中国」については、中国企業スーダンに進出させ外貨の獲得と、何より「一帯一路」構想のシーレーンの中に位置しているスーダンを懐柔しておきたい狙いもあるのかなと思います。

 

これ以外にも、「ロシアと中国」のねらいはたくさんあると思いますが、こういったこともあってか、プレッシャーをかけて旧政権を維持するようにしているのかなと思います。また、それを裏付けるようにして、6月5日、国連安全保障理事会の会合で、イギリスとドイツによる、治安部隊による民衆の抑圧について報道声明案を提出しましたが、これに旧政権と結びつきが強い「ロシアと中国」は反対しました。

 

他にも、スーダンに対イエメン戦争でスーダンに軍事支援をしてもらっているスンナ派国の親分サウジアラビアも、ロシアと中国同様にプレッシャーをかけているのかなと思います。

 

 

以上のように、事実と推測を偉そうに述べてきましたが、正直なところ、こんな大人な事情はほっといて、すぐにでも、スーダンのみんなが望む、新しい素敵な国になって、去年の12月までの穏やかなスーダンに戻ってほしいと思っています。

 

最後に、長々と駄文を読んでいただきありがとうございます。

前ページとこのページを読んで、スーダンで今何が起こっているのか、少し知って頂けたと思います。よければ「スーダンでこんなこと起こっているよ」と、周りの人に伝え、お話したり、ちょっとスーダンのことを調べたりしてほしいです。

僕には、スーダンで耐えてがんばっている方々のために、これくらいしかできないので、力になっていただければ幸いです。

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今スーダンで何が?

ここ最近ブログのテーマとは違ったことばかり掲載していますが、今回は是非ブログを見ている方にスーダンの現状を知って頂きたくてこの度ブログを書きました。

 

さて、今週月曜日(6月3日)までのスーダンの様子は何かと日本のメディアでも取り上げられていて知っている方もおられると思いますが、4月6日からスーダン国軍本部前に多くの民衆が座り込みを行い、それを受けて軍部側が民衆側につき、4月11日に30年間スーダンで独裁政治を行っていたオマル・アル=バシールが大統領の座を降りることになりました。

 

その後は、軍部による暫定軍事評議会(TMC)が発足され、民衆の抗議活動をまとめているスーダン職業連盟(SPA)と野党とで、今後のスーダンについて話し合いを進めていました。

 

しかし、その間、旧体制の既得権益 をなるべく放したくないTMC側と、新しいスーダンに変えたいSPAと野党側とで意見がぶつかり交渉が決裂することもありました。また、民衆も軍政から民政へ移管するまでは座り込みを続けると宣言していました。その座り込みをしている軍本部前には、数多くのテントが設置されていて、食堂もあれば薬局もあったりして、もともと何気ない大きな通りだったのが、まるで一つの集落のような場所になっていました。

 

しかし、6月3日の早朝、その座り込みをしていた場所に治安部隊がやってきて、銃器等を使い、民衆を強制的に解散させました。その際、銃弾で亡くなった方も数名いて、負傷者も数多く出ました。

 

それを受けて、民衆側はハルツーム市内のそれぞれの路上で抗議活動を行いました。しかし、治安部隊の勢いは止まらず、その路上で抗議していた民衆にも銃弾を浴びせたり、ムチのようにしなる長い棒で叩きつけたりして、彼らを拘束しました。また、医師団の発表によると、昨日40体もの遺体をハルツーム市内に流れているナイル川で回収したとの情報もありました。また、こういった行為をなるべく隠したいのか、現在ではインターネットも遮断されており、スーダンにいる同僚と連絡が取れない状況です。

 

6月3日早朝の、軍部前での治安部隊による放逐作戦の様子。

(銃声や血が映っている場面もあるので、観れる方だけ)

www.youtube.com

 

 なぜ、こういった残虐なことがスーダンで起こっているのか。

なぜ、軍部は政権をスムーズに手放さないのか。

こういったことを、次のページに書いていきたいと思います。

 

 

 

「帰る」

お久しぶりです。

 

みなさんご存知かもしれませんが、

12月末から続いていたスーダンのデモが

4月6日の「革命の日

(前政権がクーデターによって倒された日)

を境に激しくなりました。

それを受け、地方にいる隊員は首都へ

一時避難することになりました。

そして、首都に退避後の4月11日の朝、

民衆側についた国軍が大統領官邸を

包囲して、30年間政権を握っていた

バシール大統領は辞任しました。

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(革命により手に入れた自由に喜ぶ民衆)

 

 

ですが、この変革を受けて政府内の

パワーバランスが崩れ、

なかなか情勢が読みづらくなったこともあり、

安全面を考慮し、

JICA海外協力隊のボランティアは

日本へ一時退避することになりました。

今のところいつ帰れるかわからないとのこと。

 

 

実際に日本に退避することが決まった

その日の夜、寝ようとすると任地にいる同僚、

仲の良しのスーダン人の笑顔や

その人たちとの楽しかったシーンばかりが

目に浮かびました。

 

また、今回のことでたくさんの人と話をする中で、

スーダンへ戻る」ではなく

スーダンへ帰る」と言う言葉を自分で

使っていたことに気づいた時、

 

これまでは、暑いし、不便やし、

のんびりしすぎやし、約束は守らないし、

それに対してストレスが溜まることもあって、

一時は早く日本に帰りたい

とさえ思っていたのが、

その時、初めて自分はそんなスーダンのことが

好きで自分の居場所になっているんだな

と知りました。

 

正直まだやり残したことが山ほどあります。

会いたくても会えなかった人、

待ってくれている子どもがたくさんいます。

いつスーダンへ帰れるかわかりませんが、

必ず帰れると、

心から願って日本でしばらく

過ごしていきたいと思います。

 

スーダンのみんな、

必ず帰るから待っていてね」

 

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(活動している聾学校の子どもたち)

 

難しい問題

久しぶりの更新です。

サボっていた訳ではありません。

あまり馴染みのないものを始めた故、

ブログという存在を忘れていました。

 

ぼくの活動は先週から6月いっぱいまでの

日本でいう夏休みに入りました。

なので、一段落ついたので、最近を振り返りたいと思います。

 難しい問題

これから学校の先生たちと活動していく上で、彼らが何を考えてるのか知りたかったので、直接聞くにも、ぼくのつたないアラビア語では理解できないので、アンケートを取ることにしました。

その中に「この学校の課題はなんですか」

という項目を設けました。

すると、だいたい2つの答えに分かれ、

1つ目が「学校備品が少ないもしくは古い」

2つ目が「金銭的な問題、交通手段の問題で通えない子どもがいる

でした。

1つ目は日本でもよくあることですが、

2つ目は途上国ならではの課題だなと感じました。

実際に学籍はあるものの半分ほどが登校していないのが現状です。

とはいっても、お金が絡みそうなこの課題は、ぼく一人ではどうしようもないので教育省の人とこれについて話ができればなと思っています。

 

ですが、

今はお金のことについてなかなか話しづらい

のでタイミングを見て話そうと思います。

 

実は、もともとスーダンはアフリカで1番広い国土を

持っていて石油も産出する国だったのですが、

 

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https://jp.123rf.com/photo_30566366_スーダンと南スーダンの政治地図首都ハルツームそしてジュバ

 

2011年に南スーダンが独立してからは、その石油が出るほとんどが南部にあったので、外貨を稼ぐものがほとんどなくなり経済状況は悪くなっていきました。

 

そして、ここ最近、小麦粉、ガソリン等の値上がりの関係で経済状況がさらに悪化し、 ガソリンは供給量が追いつかず大行列。中には、半日並ぶこともあるみたいです。また、銀行から引き出すお金がなくなり、毎日銀行は大行列。給料が支払われず、

「1ヶ月給料もらってないねん」

という先生もいました。

それでも、毎日学校に来て、よく紅茶を飲んでお話はしますが

子どもたちを相手に授業をする先生たちには頭が下がります。

ですが、そんな状態に耐えかねて、

昨年末から各地で抗議活動が起こっています。

なんか、堅い話になりましたが、あまりこのことを日本では話題にならないと思うので書かせてもらいました。早くこの状態が良くなることを願うばかりです。 

 

最後に

この間洗濯の授業をしました。どうなるかなと思って臨んだ授業でしたが子どもたちはおうちでも手伝いをしているのか意外と手際良くてびっくりしました。

先生たちのウケもよく、

ほかのクラスでも洗濯の授業をしてくれていました。

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2年は短し歩けよおとこ

11月に入りました。

この1週間は学校がお休みということもあって、

家でゴロゴロゴロしたり、読書したりしてました。

読書で言えば、今更ですが森見登美彦さんの本にはまっていて

秋の夜長を読書しながら過ごしています。

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C)森見登美彦KADOKAWA/ナカメの会

https://eiga.com/movie/86154/photo/

「秋の夜長」って年中暑い国やろ!

って思われるかもしれませんが、一応スーダンは北半球なので

この時期になるとお日様も沈むのが早いんです。暑いけど。

 

さて、そんなお休みの学校ですが、ここ最近やった授業を

紹介したいと思います。

 

《ストローを使った色の弁別》

ここのクラスは、知的障害の生徒が大半です。ですが、

お兄さんクラスということもあってか、

比較的集中力がある生徒ばかりでしたので、

様々な色のストローの中から、指定された色のストローを抽出する。

といったことをしました。

ただ、ぼくのミスで「赤」「ピンク」「茶色」のストローと似た色の

ものを入れていたので、見え方の問題で苦戦する生徒もいました。

でも、しっかりと根気強くみんな課題に取り組んでくれました。

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《ストロー通し》

ここ最近はせっかくだったので先ほど紹介したストローを使った

課題ばかりしていました。

なので、女の子のクラスでは、ストロー通しをしました。

ここのクラスの生徒たちも真剣に取り組んでいました。

そしてやたら褒めて欲しい子らが多いようで

「ジュンジ!!」

「!!جونجي」

junnji!!

と、一つ通してはぼくを呼び、また一つ通しては呼びといった

感じでした。

完成後は両端を結んでネックレスにして持ち帰らせました。

やはり女の子ということもあってとても嬉しそうに大事そうにして

持って帰っていました。

 

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どうですか?

順風満帆にいっているように

見えるでしょ!

 

いいえ、8割の授業はそうではありません。

無法地帯になる時もあります。

なので、次回は上手くいっていない、

かっこ悪いところをお伝えしようと思います(笑)

 

最後に、

「This is milk?」

「No, This is egg!!」

※腐っていません。食べられます。

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何で電波切れたん?

10月に入って数日が経ちました。

この記事を書いているときにいきなり電波が切れて、

一から書くことになりました。辛いです。

 

さて、今回はぼくが週2回活動している「ウムカルツーム聾学校」での

活動内容を紹介します。

ここでは1つ目に「体育」を教えています。

ここの子どもたちは、並ぶにしても、授業で何かするにしても

「ぼくが!わたしが!」といった我先にといった様子で、

「譲る」「思いやる」といったことが少し難しいようです。

まあ、発達的なこともあるかもですが、、、

なので、この時間では、スポーツとかといったことではなくて、

「身体あそび」や「簡単なルールのあるあそび」を通して、

集団づくりを今は力を入れてやっとります。

 

【ハンカチ落とし】

日本でもお馴染みのこの遊びを教えると、ここの子どもたちも

どハマりしました。ただ、

「何で、おれに落としてくれへんねん!」

といって、喧嘩になることも多々あります(笑)

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そして2つ目は「算数」を教えています。

きっかけとしては、元々は目と手の協応動作を目的として、

釣りゲームをしようと準備をしていたのですが、

担当している低学年の子どもたちは数唱はできるけど、

それが量的な概念と結びついてないように感じたので、

そのゲームに数のマッチング要素を入れました。

 

【数の釣りゲーム】

いつも無秩序な子どもたちが、とても集中してお友だちの

やっている様子を見たり、真剣に取り組んだりしていました。

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授業後、先生がぼくに笑顔で近づいてきて

「ほな、次は図形について教えてくれへん?」

と先生が言いました。

「ん?」とぼくが言いました。

「ちょっと待っとって」と先生が言いました。

「ん?」とぼくが言いました。

先生が教科書を引っ張り出してきて

「頼むわな」と先生が言いました。

「はい」とぼくが言ってしまいました。

これから2教科教えることになってしました。

 

最後に、ぼくが日本人と知ってから、子どもたちは

空手はこんな感じなのか、これであってるのかと

組み手をよく見せてきます。なので、いつも「いいやん!」と

褒めるのですが、、、

ごめんね。実は空手よう分からんねん。

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次回は、ゲジラ特別支援学校の活動について書こうと思います。

では。

未知の聴覚支援学校へ

スーダンに来て、明らかに痩せてきているように感じがして、

同僚にも、もっと食べなさいと言われるので増量計画を始めました。

とりあえず、3食はしっかりとそれなりの量を食べるようにしたいです。

 

話はがらりと変わりますが、今回は活動先の「聴覚支援学校」について書きたいと思います。元々は、知的障害やダウン症の子どもたちが通う「ゲジラ特別支援学校」が要請された活動先だったのですが、ゲジラ州の教育省の人が、

「聴覚支援学校も行ってみない?」

と言われたので、以前から聴覚支援の分野も気になっていたし、

「いや、いいですわ」

と言うのもあれなので週に2日そこの学校へ行けることになりました。

 

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ここの聴覚支援学校は、児童生徒数が

およそ100名ほどで、先生は20名です。

4歳から18歳までの子どもが通い、

朝8時から午後2時まであります。

ただ、その間の時間ずっと授業を受けているのかといえばそうでなく、1コマ授業を受けたら次のコマは空きみたいな感じになっています。

ちなみに、ぼくはここで、体育を教えています。

(そう、あの日までは…)

 

補聴器をつけている子は見たところ、

100人中4人ほどでした。

なので、

子どもたちとのコミュニケーションは、

ぼくの口の動きを読み取ってもらったり、

筆談、そして何より

 

「手話」です。

 

正直言って、子どもたちが伝えたいことが

ほとんどわかりません。

ですが、前の職場が肢体不自由の学校だった

こともあり、その場の状況や子どもの表情、

動作から感情を自分なりに汲み取ることは、

日常的に行っていたので、今はその財産が

活きています。

ただ、それだけではダメなので、

先生や高等部の生徒に手話を教えて

もらっています。

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(↑指文字です。もちろんのこと日本とは全く手話が違います)

他にも、ここでの活動内容とか

紹介したいのですが、

パケット代が気になってきたので、

ここら辺でドロンさせてもらいます。

なので、次回はここでの活動内容を

紹介させてもらいます。

 

最後に、ここの学校の休み時間に流行って

いることは、どこの国でも同じなのかな

「サッカー」

囲碁みたいなヤツ」です。

ルールは、とりあえずビンゴみたいに

石を並べたらいいのかな。

知らんけど…

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